2012年10月5日金曜日

シチュエーションコメディ脚本・平成の米騒動5P目。

■ おお、早速見せてくれ。

★ タイ米買ってきてないよな。

● もち!

★ 何米買ってきたんだ?

● じゃあ、お披露目しよう。ジャカジャカジャカジャカジャカジャカ、 ジャーン!米!

★ だから何米だよ。

● 店の人は「ブレンド米」って言ってた。

■ ブレンド?

● うん。

★ ブレンドってなんだ?

● いやでも、ブレンド。

■ コーヒーだろ。

● え?

■ 米じゃなくてコーヒー買ってきたんだろ?

★ 米とコーヒー。

● コーヒー。

■ 間違えてコーヒー買ったんだろ?

★ 米とコーヒーを間違える。

● 米だと思うよ、多分。

■ 多分?多分てなんだ?ちょっと見せてみろよ。えーっと、何々…。国産

  米60%…

● 米でしょ。

★ 60%ってなんだ。

■ 間だ続きがある。カリフォルニア米20%、タイ米20%。

★ タイ米?タイ米が入ってるのか?

■ どうやらこれは、3ヶ国の米が混合された物みたいだな。

● 国際的だね。

★ なんなんだこれは?

■ ブレンド米だろ。

★ そういうことじゃなくて。

● ちゃんと確認したのにな。「これタイ米じゃないですよね。」って。

★ 店の人なんて言った?

● 「はい、違います。」って。

★ でもタイ米入ってるぞ。

● そんなこと言われたって。

★ 騙されたのか?

■ いやそれは違う。チーズは牛乳じゃないのと一緒だよ。

● これはタイ米が混ざってるけどタイ米じゃないから。

★ そうなのか?

● あ!

■ どうした。

● 「違います」って言った時、店の人80%だったような気がする。

■ 店員も100%の自信を持てなかったんだな。

● 20%のためらいか。

★ でも、なんでわざわざ混ぜるんだ?

● さあ。

■ 匂うな。

★ へ?

■ 事件。

● 事件?

シチュエーションコメディ脚本・平成の米騒動4P目。

■ すぐに作れるって。探したら『お手軽タイ料理の素』とか売ってるだろ。

★ 売ってるのか?

■ 売ってるって。鍋の素だけでも、これだけ種類があるんだから。

★ そうか。

 インターホンの音

■ おっ、来たな。

★ はいはい。

 ★、玄関に向かう。

★ おお、上がって上がって。

● お待たせ、ゼエゼエ。

★ ずいぶん早かったな。

● いやさ、米が重かったからダッシュで来たよ。

★ へ?

● いやさ、重い荷物って嫌だろ。

★ ああ。

● だから、ダッシュ。

★ はい?

■ だから、あれだろ?嫌なことはさっさとすませたいんだろ?

● うん、僕次男だから。

★ 次男関係あるのか?

■ しかし、ずいぶん疲れてるな。

● なんせ、全力だったから。

★ こんなもんかついで全力で走ったら疲れるって。

● あー、しんどいゲロ吐きそう。

★ おい、大丈夫か?

● 水ちょうだい、水道水。

★ 分かった。

 ★、台所に向かう。

■ 米かついで街中突っ走ってどうだった?

● …正直、ちょっと恥ずかしかった。

■ だろうな。

 ★、戻ってくる。

★ はい、水道水。

● サンクス。…カルキ臭いな。

■ そりゃ、お前、暑い時はバクテリアとか増殖するから、それを抑えるためにカルキ臭くなるんだよ。

★ 説明臭いな。

● ゴクゴクゴクゴク…。

★ 飲むの?

● プ八ッ!ナイスカルキ。

★ …ああ、ありがと。

● お米買ってきたよ。

シチュエーションコメディ脚本・平成の米騒動3P目。

★ どうしよ。この米炊いたらどうなるんだろ?

■ 時には退くのも勇気って言うぜ。

★ そこまで大袈裟に考えるつもりはないんだけどね。

■ そんなに自分を責めるな!

★ いや、責めてないから。

■ 炊かなくてもいいってことだよ。

★ 炊かなくてもいい?

■ ●に代わりの米買ってこさせりゃいいじゃないか

★ ああ、そうか。

■ 物事柔軟に考えようぜ。

★ まだ、家にいるかな?

★、●に電話をかける。

★ あー、もしもし。良かった家にいた。…、ちょうど今出るとこ?

  じゃあ、米買ってきてくれないか?…ああ、うん、ありがと。ああ!それとタイ米は絶対に買ってこないでくれよ。ああ、うん分かった。じゃあ頼むよ。スグ来るってさ。

■ くくくくくく…。

★ 何笑ってんだよ。

■ タイ米、絶タイ。

★ いや、そんなとこでボケてないよ。

■ くくく…。で●の奴は米買ってきてくれるって?

★ ああ。ちゃんとタイ米は買わないように言っておいた。

■ そうか。

★ なんでちゃんと見て買ってこなかったんだ。

■ へ?だってさ、「安いやつ買ってきてくれ。」としか言われなかったしさ。

★ いや、でもね。

■ ほら俺って、熱中すると回りのこと見えなくなる性質(たち)だから。

★ 良く言えばね。

■ それに、日本でタイ米が売ってるなんて思わないからさ。

★ 油断したわけか。

■ そうそう、まさに油断大敵だよ。あれじゃあさ、炭酸カルシュウムの袋混ぜといても分かんないよ。

★ 炭酸カルシュウム?

■ 道路が凍ったときにまくヤツだよ。

★ ああー、よく橋の近くに置いてある奴ね、白い粒だから間違えるかもって、間違えるかよ。

■ なんだなんだ、それ乗り突っ込み?

★ …そうだよ。

■ …頑張れよ。

★ …タイ米どうしようか?

■ 置いといたらいいじゃないか。

★ 置いといてどうすんだよ。

■ んー、そうだな。友達の結婚式が教会であったらライスシャワーに使うとか。

★ 実用的なこと言ってくれよ。

■ 水戸泉!

★ ますます実用的じゃないだろ。

■ なんで?国技館という改まった場で「それは米じゃなくて塩だろ」という笑いが…。

★ ああああ、ボケを解説しないで。

■ そう?それじゃあさ、本格的なタイ料理に挑戦してみるとか。

★ そんなの誰が作るんだよ。

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