2012年8月11日土曜日

未完成脚本・新人公演用脚本案・『カカオ豆みつけた。』04P目。

良太  何か用?

ミユ  はい、チョコレート。食べて見て。

良太  サンキュー。…(食べる)。見た目がチョコレートだからって騙されないぞ!

ミユ  え?

 学校。

マナミ それは、あれだよ。直接火にかけちゃったのが、敗因だよ。

ミユ  火にかけちゃダメなんだ。

マナミ うん。なんか良く分からないけど、分離しちゃうんだって。

ミユ  ブンリしちゃうんだ。

マナミ うん。バレンタインチョコで、「分かれる」なんて不吉だから気をつけたほうが良いよ。

ミユ  大丈夫。食べるのは良太だから。

マナミ 良太くんも災難ね。

ミユ  で、どうやって溶かすの?

マナミ ん?ああ。それはねユセンをかけるの。

ミユ  ユセン?

マナミ うん。直接、火にかけると分離しちゃうから、ボールにお湯を入れてそれで暖めて溶か

すの。

ミユ  へー、そうなんだ。うん、分かった。やって見る。

 ミユの家。

ミユ  さあ、今日はちゃんと成功させるぞ。

母親  ミユ、何してるの?

ミユ  あ、お母さん。

母親  あ、ミユったらまたチョコレート買ってきて。

ミユ  オコヅカイでかったんだからいいでしょ。

母親  甘いものばかり食べてると虫歯になるわよ。

ミユ  大丈夫、食べるのは良太なんだから。

母親  あ、ちょっと、ミユ。もう、困った子ね。

ミユ  今度は失敗しないように、ちゃんとユセンをかけて溶かして…できあがり!良太、良太。

良太  何?

ミユ  食べて見て。

良太  えー、また。

ミユ  いいから。

良太  分かったよ。…(食べる)。うん、おいしい。

ミユ  ホント?

良太  この前よりはね。

ミユ  え?

 良太、溶かす前のチョコを食べる。

良太  やっぱり、こっちのほうがおいしいや。

ミユ  …それがしばらく続いた私とチョコレートとの闘いの始まりでした。

ブログ アーカイブ

zen back